アイルランドの新鋭「ニール・フレミング」が製作したヴァイオリン弓

※2021年2月15日に公開した投稿ですが、2023年4月に販売価格を変更しました。

※ニール・フレミングは、2022年に開催されたVSA(ヴァイオリン・ソサエティ・オブ・アメリカ)主催の製作コンクールにおいて、ヴァイオリン弓とヴィオラ弓で「ゴールドメダル」を受賞しました。

名工ピエール・ギヨームが率い、優秀な若手製作者を多数輩出している「メゾン・ベルナール」から、また一人逸材が現れました。伝統的なフランスの弓製作の手法を守りつつ、究極にまで高められた精度で楽弓を製作するニール・フレミング。オーストラリア生まれのアイルランド系という、他の弓製作家とは異なるバックボーンが影響するのでしょうか。彼の製作する弓はフレンチ・ボウの最大の特徴である類稀なバランスを持つと同時に、楽器から驚異的なパワーとレスポンスを引き出します。

ニール・フレミング バイオリン弓 ヴァイオリン弓
ニール・フレミング バイオリン弓 ヴァイオリン弓
ニール・フレミング バイオリン弓 ヴァイオリン弓
ニール・フレミング製作 ヴァイオリン弓(シルバー・エボニー)
希望小売価格 ¥1,320,000(税抜価格¥1,200,000)

ニール・フレミングの作品は、エティエンヌ・パジョ、ニコラ・メア、ニコラ・マリーン、ピエール・シモンなど、19世紀前半〜半ばに活躍した偉大なフランスの製作家たちの作品からインスピレーションを受けて製作されています。

エティエンヌ・パジョ(1791 – 1849)
幼少の頃から父のもとで弓製作を学び、生涯ミルクールで製作を続けたと考えられています。ヘッドのデザイン変更やフロッグやボタンの改良など、大きな技術革新を行い「弓の近代化」に貢献しました。
こちら】のサイトで写真がご覧になれます。(外部リンクです)

ニコラ・メア(1800 – 1878)
エティエンヌ・パジョから弓製作を学んだと考えられています。ミルクールで活躍し、師のパジョが亡くなった後にパリに移りました。

ニコラ・マリーン(1822 – 1877)
ヴァイオリンや弓を製作する一家に生まれ、はじめ父から、後にエティエンヌ・パジョの工房で弓製作を学んだと考えられています。パリのジャン・バプテスト・ヴィヨームのために弓を製作しました。

ピエール・シモン(1808 – 1881)
ミルクールで生まれ弓製作を学び、後にパリの名工ドミニク・ペカットの工房に移ります。数年後にヴィヨームの工房に移り、さらにペカットが故郷のミルクールに帰った後はその工房を引き継ぎました。
こちら】のサイトで写真がご覧になれます。(外部リンクです)

ニール・フレミングが製作した今回のヴァイオリン弓を見ると、エティエンヌ・パジョから大きな影響を受けていることが分かります。特にヘッド先端の形状はパジョの後期の作品に非常によく似ており、一方でヘッド内側の削り(面取り)がやや大きいところからピエール・シモンの影響も見受けられます。両者の特徴をうまく取り入れ、自分のモデルとして昇華しているのです。
ピエール・シモンまでの時代、弓にはパワーとレスポンスが要求されました。この時代の製作家たちの作品から学ぶことで、ニール・フレミングの作品にも同じような特徴が表れているのかもしれません。

ニール・フレミング
ニール・フレミング(アイルランド)

オーストラリア生まれ。16歳からヴァイオリン製作をはじめ、のちにイギリスのニューアーク国際ヴァイオリン製作学校に入学。在学中にロンドンの弦楽器専門店でパートタイムとして働くうち、弓製作に興味を抱きます。卒業後はブリュッセルの名門工房「メゾン・ベルナール」に加わり、ピエール・ギヨームのもとで弓の製作や修復に携わりました。その後、アイルランドの著名製作家ノエル・バークの工房で2年を過ごし、さらに腕を磨きました。現在は家族のルーツであるアイルランドにおいて、自身の工房で製作を続けています。2018年に開催されたVSA(ヴァイオリン・ソサエティ・オブ・アメリカ)主催の製作コンクールにおいて、ヴァイオリン弓とチェロ弓で技術賞を受賞、2019年にパリで開催された弓製作コンクールにおいて、ヴィオラ弓で第二位を受賞しています。


【カナダの名工エリック・ガニエ】

「メゾン・ベルナール」で学びカナダで活躍する若き名工エリック・ガニエ。

エリックが製作した最新のヴァイオリン弓とチェロ弓について、
こちら】で詳しくご紹介しています。

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【弦楽器カタログ】

2020年1月に発行した「弦楽器カタログ」

ロッコーマンでは世界各国の個人製作の楽弓を取り扱っています。
こちら】のページからカタログデータをダウンロードいただけます。

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