オベール・リューテリエ

※「オベール・リューテリエ」が製作するヴァイオリン、ヴィオラ、チェロにつきまして、2022年10月1日より希望小売価格が変更となりました。詳しくは【こちら】の投稿をご確認ください。

現在、フランスで年間100本以上の弦楽器を製作している唯一の工房「オベール・リューテリエ」の歴史は、1865年までさかのぼります。当時、フランスの弦楽器製作の中心地であったミルクールにおいて、初代エミール・オベールによってブリッジ専門メーカーとして創業されました。高い技術力と職人のこだわりある仕事で質の高い製品を作り続け、150年以上に亘りその伝統は途絶えることなく、現在もなお世界で最も有名なブリッジメーカーとして君臨しています。

オベール・リューテリエ

楽器製作をスタートしたのは、先代のアラン・モアニエがオーナーの時代です。19世紀のフランスの弦楽器製作者&ディーラーであった「ジャン・バプテスト・ヴィヨーム」の楽器をモデルとし、フランスの歴史的な製作技法に則って製作された楽器は高い評価を獲得しました。1997年に現在のオーナーのサヴァレス社(ベルナール・マイヨとシリル・マイヨ親子)に事業継承され、より厳密なシーズニングや材料選びを行うことで、良心的で優れた楽器メーカーとしての地位を確かなものにしています。

オベール・リューテリエ
オベール・リューテリエの弦楽器製作工房(1994年に撮影)
オベール・リューテリエ ジャン・バプテスト・ヴィヨーム

ジャン・バプテスト・ヴィヨーム(1798-1875)はミルクールで生まれ、のちパリに移りフランソワ・シャノの工房で働いた後に独立、ストラディヴァリやガルネリのコピーを得意とし19世紀半ばにおいてフランス最高の製作家として高い評価を受けています。またディーラーとしても活躍し、数多くのイタリアの名器を修復・販売したことで知られています。さらに弓の製作においても多くの事績を残し、ドミニク・ぺカットやフランソワ・ヴォアランなど、超一流の製作家を雇いフレンチ・ボウの歴史に大きな影響を与えました。


《オベール・リューテリエ 創業150周年プロジェクト》

2015年、オベール・リューテリエが創業150周年を迎えるにあたり、工房長ヴァンサン・モランの手により2挺の記念ヴァイオリンが製作されました。1つはダブル・アラベスク紋様を施した作品、もう1つは銘器「プリンス・カラマン・ド・シメイ(Prince Caraman de Chimay)」に施された紋章と同じデザインを描き込んだ作品です。共に、ジャン・バプテスト・ヴィヨームの作品として名高いヴァイオリンをモデルにしています。

なお、ヴィヨームの手による銘器「プリンス・カラマン・ド・シメイ」については、弦楽器専門のオークショナー【タリシオのウェブサイト】でオリジナルの楽器の画像や詳細がご覧いただけます。(英語のサイトです)

オベール・リューテリエ

2挺の記念ヴァイオリンの製作にあたり、オベール・リューテリエの社長シリル・マイヨと工房長ヴァンサン・モランのインタビュー動画が撮影されました。オベールの歴史や製作哲学、工房の雰囲気などが伝わる5分程度の内容となっていますので、お時間が許す方は是非ご覧になってください。

オベール・リューテリエ ダブル・アラベスク
ヴァンサン・モラン製作「150周年記念 ダブル・アラベスク」
オベール・リューテリエ ダブル・アラベスク
オベール・リューテリエ プリンス・カラマン・ド・シメイ
ヴァンサン・モラン製作「150周年記念 プリンス・カラマン・ド・シメイ」
オベール・リューテリエ プリンス・カラマン・ド・シメイ

「プリンス・カラマン・ド・シメイ」の紋章は、古美術の修復家アンネ・ドゥファーラ氏の協力で再現しました。ドゥファーラ氏はパリ・アートセンターで学んだ後、歴史モニュメントの修復に特化した工房に入り、ブルターニュの古都レンネ市の議事堂の修復やパリ市の国家文化財のアンティーク家具の修復に携わるなど、多彩な経験を積んだ後、古典絵画の修復もマスターした専門家です。古典絵画においては、特に金細工を施した絵画の修復について高度な知識と経験を持っており、今回のプロジェクトに最適の人材でした。

オベール・リューテリエ プリンス・カラマン・ド・シメイ
作業中のアンネ・ドゥファーラ氏
オベール・リューテリエ プリンス・カラマン・ド・シメイ
ここからスタートです。紋章のデザインは写真からトレースします。
オベール・リューテリエ プリンス・カラマン・ド・シメイ
金細工を先に施します。金箔を貼った後、少しずつ削り落としていきます。
オベール・リューテリエ プリンス・カラマン・ド・シメイ
次に色付けを行い、最後にコーティングを施したら仕上がりです。
オベール・リューテリエ
オベール・リューテリエ
オベール・リューテリエ
オベール・リューテリエ
オベール・リューテリエ ダブル・アラベスク
オベール・リューテリエ ダブル・アラベスク
オベール・リューテリエ ダブル・アラベスク
オベール・リューテリエ ダブル・アラベスク
オベール・リューテリエ ダブル・アラベスク
オベール・リューテリエ ダブル・アラベスク
オベール・リューテリエ ダブル・アラベスク
オベール・リューテリエ ダブル・アラベスク
オベール・リューテリエ ヴァンサン・モラン

《オベール・リューテリエ工房長 ヴァンサン・モラン 略歴》

  • 1978〜1981 ミルクール国立弦楽器製作学校にて学ぶ
  • 1981〜1983 レネ・モリゾのアシスタントとして製作学校で教鞭を執る
  • 1983〜1984 フランスの弦楽器メーカーでチェロ製作を担当
  • 1985 軍役
  • 1986〜1988 ミルクールの弦楽器メーカーでビオラとコントラバス製作を担当
  • 1988〜1997 オベール・モアニエ社(当時)にて弦楽器製作の工房長となる。この時期、名工レネ・モレルと合作でチェロを製作
  • 1997〜 オベール・リューテリエ(現在)にて弦楽器製作の工房長。リヨンの名工ジャン・フレデリック・シュミットの協力を得て、最上位モデルのチェロ「アレクサンダー・ルフランソワ」を開発
オベール・リューテリエ アレクサンダー・ルフランソワ
最上位モデルのヴァイオリン「アレクサンダー・ルフランソワ」
希望小売価格 ¥1,210,000(税抜価格 ¥1,100,000)
オベール・リューテリエ アレクサンダー・ルフランソワ
最上位モデルのチェロ「アレクサンダー・ルフランソワ」
(リヨンの名工ジャン・フレデリック・シュミットの協力を得て開発)
希望小売価格 ¥2,420,000(税抜価格 ¥2,200,000)

【定番3モデルのご紹介】

「J.B.ヴィヨーム」
「ジョルジュ・ミシェル」
「セリー・リミティ」

オベール・リューテリエで製作する3つの定番モデル。
こちら】の投稿で、それぞれの特徴や各モデルの違いを詳しくご紹介しています。

【限定生産品のご紹介】

2018年に限定生産された
「ジャン・フランソワ・ニコラス」

下地のニスにアンティーク調のグラデーションを施し、仕上げにはオイルニスを用いました。
こちら】の投稿で詳しくご紹介しています。


オベール・リューテリエ
オベール・リューテリエの外観。大部分がブリッジに使用する木材の加工やシーズニングに使われています。
オベール・リューテリエ
メイプル材はフランス国内かバルカン半島のボスニアから丸太で調達します。製材の過程で素材の性質を見極め、ブリッジ用と楽器用に仕分けされます。
オベール・リューテリエ
オベール・リューテリエ
製材とシーズニングが終わった材料を、ブリッジ用に加工しているところです。ここまでの工程で全ての木材の約90%が除外されます。使わない部分は玩具メーカーに引き取ってもらっているそうです。
オベール・リューテリエ
全ての工程を終え、出荷を待っているブリッジです。木目によって厳密にグレード分けが行われ、中には完成直前に除外されるものもあります。最終的に製品になるのは、限られた一部の木材のみです。
オベール・リューテリエ
20年以上のキャリアを持つベテランの職人です。チェロの製作を任されているのは、工房長ヴァンサン・モランの他は、彼のみです。
オベール・リューテリエ
ヴァイオリン製作には女性の職人が多く関わっています。特にスクロールは彼女たちの担当です。ただし、f字孔のみは全て工房長ヴァンサン・モランが担当します。
オベール・リューテリエ
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【弦楽器カタログ】

2020年1月に発行した「弦楽器カタログ」

オベール・リューテリエの紹介をはじめ、ロッコーマン取り扱いのその他の楽器や弓についても網羅しています。
こちら】のページからダウンロードいただけます。

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